(質問)競売になると時価よりも大幅に安い値段で売却されてしまいませんか?

競売で大幅に安く売却されることは殆どない

競売になると値段が大幅に安く売却されると心配される方が多くおられます。
たしかにバブル崩壊直後などでそのような時代もあったのも事実です。
しかし、2023年の時点において不動産購入希望者が多いことから大幅に安く売却されることは殆どありません。
競売事件においてもここ10年ほどは、平均して全国的に時価の9割程度、東京では時価以上の金額で売却されています。
この点を詳しく説明します。

競売データ分析

競売になっても大幅に安く売却される事は殆どない。都市部では時価以上で売却される事例が多いというのは数多くの競売事件を取り扱ってきた私の肌感覚で感じています。
ただ私の肌感覚のみを述べても説得力に欠けるのでデータに基づいて説明します。
全国の競売評価人候補者で結成された全国競売評価ネットワークが分析したデータがあります。
これによると、平均買増率2(売却基準価格を競売市場修正前に割り直した金額つまり市場価格相当額に対する落札額の割合)が以下のとおりとの事です。
・平成24年度 東京地裁の平均買増率2  94・8%、全国の平均買増率2  91・8%
・平成25年度 東京地裁の平均買増率2 106・0%、全国の平均買増率2  96・1%
・平成26年度 東京地裁の平均買増率2 108・6% 全国の平均買増率2  94・7%
(平成24年度は金融財政事情研究会刊の「競売不動産評価の理論と実務」第2版によるものであり、平成25年度と平成26年度は全国競売評価ネットワークのホームページに基づくもの)
なお、全国競売評価ネットワークのホームページに掲載されているKBネットワーク通信NO.2によると、令和2年度の全国平均買増率は97%であり、一般不動産市場での取引価格水準と同程度と記載されています。また東京の平成29年から令和3年までの平均買増率2は108・8%から129%の間を推移しているとも説明されています。
この競売データ分析によっても、競売で不動産がほぼ時価と同程度で売却されていることがお分かりになるかと思います。

競売だと安く売却されると言われている理由

競売になっても不動産がほぼ時価で売却される。大幅に安くならないということは競売を扱っている人であれば周知の事実です。
しかし、安くなってしまうという誤解が生み出される理由は、過去に安く売却された事があったとか、競売評価人が競売基準価額や買受可能価額を算出する場合に安く評価している(安く評価されても買受希望者が多いことから時価以上の金額でないと落札できないことが殆どであるが)という要因もありますが、一番の理由は競売になると安く売却されるとした方が不動産業者にとって任意売却を成立させる可能性が高まり仲介手数料収入が増えるという事情があるのではないかと思われます。
借金が返せなくて抵当権者から競売申立がされるという通常の競売事件の場合に、競売だと安く売却されると心配して任意売却を成立させようとする、そうすると仲介手数料の増加につながるという事情があるように思われます。
そのため、競売になると大幅に安く売却されると言われ続けているのではないかと考えられる訳です。

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著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設


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