(質問)共有物分割請求が権利濫用となりませんか?


(解説)

共有物分割請求権は、共有物を失いたくないと共有者が考えていても裁判所から競売を命じる判決が出されてしまうと共有物を失うことになるという意味で強力な権利です。

このため、訴訟が起こされた場合に共有物分割請求が権利濫用だと言って争われる可能性もあります。この点についても触れさせていただきます。

たしかに共有物分割請求権によって代償金を支払わないと不動産を失うという立場に追いやられる相手方の不利益は大きいと言えます。

しかし、共有物分割請求権は、共有を継続することによって共有物の使用収益処分に争いが生じやすく社会経済上の不利益になるとの観点から、共有解消を望む共有者がいれば強制的に解消できるとしたものです。かつて共有物分割請求権を否定する条項を設けていた森林法の規定についても憲法違反で無効と判断する最高裁判例が出されたほどの強力な権利です。

相手方が不利益を受けるからといって、共有物分割請求を否定することは共有物分割請求を認めた趣旨に反することになります。

このため、共有物分割請求権を行使する側に請求権を行使する理由が全くなく、行使される側にとって著しく酷である場合に限って共有物分割請求が権利濫用として棄却される可能性があります。

単純に相手方が家を失うというだけで権利濫用と認められることはまずありません。

共有物分割請求権の行使が権利濫用か争われた平成7年3月28日の最高裁判例においても「共有物分割権の実現が著しく不合理であり、行使される者にとって甚だ酷と認められる場合に限り、濫用として許されない」ものとしています。

共有物分割請求についてよくされる質問を記載します。


著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設

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