(質問)共有物分割請求の現物分割とは何ですか?

現物分割は共有物分割の原則だが、実際にはあまり行われていない

現物分割が共有物分割の原則的分割方法となっていますが、実際にはあまり行われていません。
その理由を以下で詳しく述べます。

共有不動産が分譲マンションのような区分建物になっている場合は物理的に分けられないので現物分割ができない

分譲マンションが共有不動産となっている場合、建物を物理的に分けることができません。よって現物分割ができないことになります。

共有不動産が建物とその敷地になっている場合も物理的に分けることができないので現物分割できない

共有不動産が建物と敷地になっている場合、建物は物理的に分けられないので現物分割ができません。
建物の敷地については物理的に分けることはできそうですが、建物の敷地を2つ以上に物理的に分けると価格を著しく減少させるおそれがあります。よって現物分割ができないことになります。

庭が広い家の敷地を物理的に分けると元々の建物が建ぺい率違反となると、現物分割が認められなくなる

庭が広い家の場合は、家の敷地となっている部分と庭を現物分割することはできそうに見えます。
しかしかし、庭を更地として現物分割で取得しようとしても、建ぺい率といって土地に占める建物の面積の割合が低く定められている場合は、現物分割すると建ぺい率に違反することになってしまいます。
またこのため現物分割ができそうに見えても建ぺい率違反の問題が発生して、現物分割が認められないことがあります。

共有者双方が同意して作成した地積測量図がないと現物分割ができない

現物分割を希望する人の中には相手方が同意しない場合に裁判所に自己が希望する現物分割案を認めてもらって、強制的に現物分割を行うことを希望する人がおられます。
しかし、そもそも一筆の土地を2つ以上に物理的に分ける(分筆といいます)には、共有者双方が同意して作成した地積測量図が必要となります。双方が同意して作成した地積測量図がないとそもそも法務局は分筆登記をしてくれません。
仮に裁判所が現物分割を命じる判決を書いても双方が同意して作成した地積測量図がないと法務局が分筆登記を行わないため、裁判所も分筆登記ができる状態でなければ現物分割を命じる判決を出さないことになります。

現物分割が行われるのは現金化を希望する共有者の共有物分割請求に対して相手方が現物分割を提案してきた場合が殆ど

私はこれまでに100件以上の共有物分割請求を行ってきました。
現物分割が行われた事例も数件ありますが、殆どが依頼者が現金化を希望し、相手方が現物分割を提案してきた事例です
依頼者は現金化するために共有物分割請求を依頼します。相手方は居住しており家を残すことを希望していますが規模が比較的大きく、代償分割をするには金額が大きくなり難しいということがあります
そのような場合に相手方が建物を一部取り壊すなどして、当方に更地を取得させるという提案がされることがあります
相手方の提案に応じるかどうかは当方の自由ではありますが、現物分割によって取得した土地を売却して現金化できれのであれば相手方の提案を受け入れた方が早期解決となってよいという判断から受け入れることもあります
このように当初は現金化(要するに競売も辞さない前提で)のために共有物分割請求をしたが、相手方から現物分割の提案がされ、提案内容が合理的な場合にこれを受け入れて現物分割をすることがあるというものです

【現物分割を行った解決事例】
親子で2軒の不動産を共有していた事案でそれぞれ1軒ずつ単独所有とするとの内容の和解が成立し依頼者が取得した不動産を売却した事例
建物を取り壊して現物分割を行い、分筆で単独取得した土地を売却した事例


著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設

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